自称うさぎ


▼二〇〇四年四月▼


四月二十九日(木)


ゴールデンウィークです。読んで字のごとくエジプト大脱出を図ったナポレオンが東京株式市場で金をばら撒きユーロを駆逐してタラス湖畔の戦いに勝利したことをマンチェスターユナイテッドが祝う連休です。ようするに日本古来のお祭りです。伝統的なお祭りなのです。ゴールデンウィークなどとは一緒にしないでいただきたい。あんな軽薄で横文字チックなゴールデンウィークなどとは一緒にしないでいただきたい。ご先祖様が泣きますよ。かってに泣いてろというわけでゴールデンウィークなわけですが天動説を否定したからといって地動説に走るのはあまりに安直というものです。そこで我々は新たな可能性を模索していかなければなりません。まず手始めに今現在どのような学説があるのかをご紹介するに、天動説、地動説、人動説、心動説、肺動説、肺動脈、頚動脈、とまぁ簡単に挙げられるだけでもこれだけあります。ちなみに私がこの中で最も信憑性が高いと思っている学説は心拍動下冠動脈バイパス手術です。地動説とは違い日常的に目に見え実感が伴っていることが勝因です。意味がわかりません。タスケテ!




四月二十五日(日)


満員電車で死にます。あれはろっ骨の耐久力テストを兼ねています。兼ねられても困ります。困ったところで諦めずに我々はあの不快感を解消してより良い人生を過ごさねばなりません。さっそく快適な満員電車のあり方というものを考えてみます。


1、すいている
すいている満員電車なら快適に違いない。現代社会の矛盾点を巧みに突いたこの提案は今回の問題を根本から解決してしまった。

2、回避する
なんということだろうか。家で寝ていれば満員電車に乗らなくてもすむではないか。アルザック=アイマンは以後学校に来なかった。

3、説得する
さあ、学校へ行こう。みんな教室で君を待っている。先生のその言葉はアイザックの閉ざされた心を開いたのだった。

4、突然の悲劇
さよなら先生。

5、復活
すげぇや先生。


かわいそうなお話でしたね。それでは、さよならさよならさよなら。




四月二十二日(木)


なぜ猫はにゃあと鳴くのだろうか。いやそもそも猫はにゃあと鳴いているのだろうか。むしろ我々が猫と呼んでいるあのにゃあと鳴く生き物は果たして本当に猫なのだろうか。あれはどこから見ても外宇宙から送り込まれた宇宙生物ではなかろうか。だがにゃあと鳴いているのだから猫なのだろう。しかしながらにゃあと鳴いていればそれだけで猫なのだろうか。そもそも猫はにゃあと鳴いているのだろうか。ひょっとしたらにゃあが猫と鳴いているのではなかろうか。にゃあが猫と鳴くのならば我々がにゃあと呼んでいるあの猫と鳴く生き物は果たして本当ににゃあなのだろうか。にゃあならば猫と鳴くだろう。ようするにあれはにゃあなのである。健全たるにゃあである。森羅万象であるにゃあがにゃあでにゃあをにゃあにしその気とにゃあの根本原理がにゃあとなるのである。我々はにゃあを敬ってこそにゃあに近づけその真理はにゃあへと回帰した後ににゃあはにゃあとなる。にゃあは神にして神は偉大なるにゃあなのだ。




四月十九日(月)


ハーゲンダッツの新作アイスが出現したと聞いてさっそくオレンジやらリッチミルクやらを試してみましたがひととおり試し終わったところでハーゲンダッツの新作アイスが出現しようと自分はたいして興味がなく試さないことに気がつきました。それならばなぜ試したのかというとそれこそ神によるいたずらであり試してはいません。言いがかり甚だしいわけです。普通のバニラが一番なわけです。そしてこの乱世で天下に覇を唱えるのは私なわけです。なぜなら幻の善政である生類憐みの令が復活します。それでは記念に第一次生類憐みの令を綱吉公が出された頃のお話でもしましょう。さて、当時の幕府が意外と情報収集能力に長けており、世界情勢に精通していたことはよく知られている話です。微妙に時代が百年ほどずれておりますがたかが百年ならば同時期だろうというわけでちょうど同時期にヨーロッパでルネサンスが勃興していたこともまた幕府は当然知っていたはずです。ルネサンス、それは現代まで続く自然を人間が支配するという人間中心主義という価値観が生まれた時代、人類が過ちへと一歩その足を踏み出した時代…。そう、聡明な皆さまなら既にお気づきでしょう。綱吉公は人間中心主義に潜む危険性にいち早く気づき、人類全てへの警報として人間は中心にいてはいけないのだという生類憐みの令を発布したのです!世紀の悪法と罵られていたこの法にこそ!我々人類が進むべき道が標されているのにゃー。やーい、犬公方ー犬公方ー




四月十四日(水)


春がきて、唐突に朝早く起きる生活に戻らざるをえなくなり睡眠時間が五時間減ったのはとても非人道的なことであり国連加盟各国は人道支援としてゴールデンウィークを早くよこしなさい。もしこの要求が聞き届けられない場合、我々は報復手段として夏休みを要求するだろう。期限は三週間だ。大義は我々の側にある。神さま助けて。それにしてもあれですね。どれですか。




四月九日(金)


ここのところなんだかやたらと低い段差につまづきます。つまづいたあと恥ずかしい思いをしながら平静を装いつつまたつまづきます。エンドレスです。どうしたことでしょうか。昨今の前代未聞の相撲ブームにより私も無意識のうちに力士に憧れてすり足にでもなっているのでしょうか。すり足といったら剣道です。中高生時代の剣道の授業の時は経験者であるのをいいことに初心者の友人どもをめったうちにしたという思い出があってはいけないわけです。普段机を並べて勉強している学友と刀状の武器で殴りあうという非日常性がたまりません。少年は日常を忘れ凶行に走ります。さて、前代未聞の相撲ブームです。まぁ、しかしながら私は思うわけですよ。実のところ、相撲ブームは来ていないのではないかと。皆がまわしまわし言ってるからそんな気になっているだけで相撲ブームなどさっぱり来ていないのではないかと。表面的な情報に踊らされてはその現象の実体は見えてきません。今回のこの現象は相撲ブームなどではなく、話を変えます。最近、いくら食べても太らない体質なのをいいことに甘いものを食べるのを趣味にしていたのですが、さすがに食べ過ぎです。胸焼けがします。体重も激増に違いありません。そこで体重を量ってみたところ、やはりここ数年で一番体重が軽くなっていました。甘味ダイエットですか。




四月八日(木)


以上のようなとても信じられない出来事により、先日の僕とエクソダスさんはどこかしらで共に昼食をとろうという話になりました。ちなみにごくたまに誤解されている方がいらっしゃいますが、エクソダスさんは実在の人物です。僕の脳内で作られたキャラクターではなく、ごくごく普通の友人だそうですよ。そんなわけで渋谷に男二人、昼食をどうしようかという話になりました。僕がはてさてどうしたものか吉野家かそれとも家に帰りたいなぁと思案していると、頼りになる男エクソダスさんがおもむろに口を開きました。「オイシミセシテルヨ。ヤスクテオイシミセダヨ。」どうやら良い店を知っているようです。しかし、聞くところによるとエクソダスさん(タイ人)のオススメのその店までは電車で移動しなければならないらしく、わざわざ昼食のためだけにそんな遠くにまでと躊躇われましたが拉致されたので是非もなく到着です。この強引さはさすがラテンの血と言ったところでしょうか。頼りになる男は違います。そんなことはどうでもよく我々は高田馬場にあるタイ料理屋ティーヌンにやってまいりました。そこで僕はあの好きな人は好きだし嫌いな人はとことん受け付けないと噂の香草パクチーを生まれてはじめて口にしたのです。僕は、感動しました。イートアンドリリースです。これは慣れればどんぶり一杯でも食べられそうですね。帰り際エクソダスさんが店のおじさんから電話番号もらってました。珍しく日記らしい日記ですね。




四月四日(日)


自動車は人が走るよりも早く走れます。なぜでしょうか。ズルでもしてるんでしょうか。ズル、よくありませんね。自動車は悪い子ですね。自動車社会は悪い子社会ですね。犯罪率が上がりますね。自動車レースは悪い子レースですね。悪い子っぷりを競うのでしょうか。なにわけわかんねぇことしてるんでしょうか。世の中不思議がいっぱいです。その不思議ぶりはとどまることを知らず先日もバス停にバスしか停まらないという不可思議現象を目にするに至りました。常識的に考えればバス停にバスしか停まってはならないという道理はないのだから当然ボーイング747も停まります。たくさん停まります。しかしそこで機長は気がつきます。幅が足りません。なんということでしょう。このままでは着陸できませんドントマインド着陸です。一瞬の気の緩みが招いた大惨事です。ここにおいて都市開発計画のずさんさは明らかとなり民心の怒りは頂点に達します。そのエネルギーは地を割り、天を裂き、結果的に年金制度改革がうまくいき最近甘いものを食べ過ぎて胸焼けを起こし気味な私もすごいなぁと思いました。すごいなぁ。コンビニのケーキに匹敵するおいしさがあります。さすがは自由が丘のケーキと言ったところでしょうか。あれだけ暇を謳歌していた私も春がやってきた今や暇を返せこのやろうと言った。